0 「ももたろう」のあらすじ

(あらすじ)
・昔ある所におじいさんとおばあさんが住んでいた。
・おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った。
・ある日、おばあさんが川で洗濯していると、桃が つんぶく かんぶく と流れて来たので拾って食べてみたら美味しかった。おじいさんにも食べさせたいと「美味い桃、こっちゃ来い。苦い桃あっちゃ行け。」と桃に言うと、大きい美味そうな桃がこっちへ流れて来た。
・晩方、しまっておいた桃をふたりが割ろうとすると、桃がじゃくっと割れて中からかわいい男の子が ほおげあ ほおげあ っと生まれた。
・おじいさんとおばあさんは大騒ぎをし、桃から生まれたので「ももたろう」と名付けた。
・ふたりしておかゆや魚を食べさせて育てると、一杯食べると一杯だけ、二杯食べると二杯だけ、三杯食べると三杯だけ、大きくなった。
・一を教えれば十までわかる、力持ちで賢い子に成長した。
・ある日、一羽のからすが家の庭で鬼があちこちの村で塩や米を取り、姫をさらって行ったと鳴いて教えた。
・それを聞くとももたろうは、おじいさんとおばあさんに鬼が島に鬼退治に行きたいので、日本一のきび団子を作って欲しいと両手をついて頼んだ。
・おじいさんもおばあさんも止めたが、ももたろうが聞かないので仕方がなく、おじいさんとおばあさんは、日本一のきびだんごをどっさり作り、新しい鉢巻き、袴、刀、そして『にっぽんいちのももたろう』と書いた旗を準備して送り出す。
・村はずれで犬に出会う。「ももたろうさん、勇んで何処へお出掛けですか。」「鬼が島へ鬼退治。」「腰に付けた物は何ですか。」「日本一のきび団子。」「一つ下さい。お供します。」「それではお前に分けてやろう。これさえあれば十人力。」
・こんなやり取りがあり犬はお供になる。
・山の方で猿と、山奥にはいって行ききじと出会い、それぞれ同様にきびだんごをひとつ分けてお供になる。
・皆で、だんごを食べ食べ山超え、谷超え、海越えて鬼が島に着いた。
・門の所にいた小さい青鬼とそこらにいた鬼達は大騒ぎして奥に逃げて行く。鬼の大将は酒盛りの真っ最中だった。
・鬼達は次々掛かって来たがももたろう達は十人力の日本一のきびだんごをどっさり食べているので片っ端から鬼をやっつけてしまった。
・鬼の大将は降参し、泣いて命乞いをする。
・鬼はお詫びの印に宝物を差し出すが、ももたろうは宝よりも姫を返せと言い 鬼は「はいはい」とお姫様を返した。。
・それからは 鬼どもは来なくなり、ももたろうは助け出したお姫様をお嫁にもらって おじいさん、おばあさんといつまでもしあわせに暮らした。

(あらすじの出展)
ももたろう (日本傑作絵本シリーズ) (ハードカバー)
まつい ただし, あかば すえきち

1 短文で書こう

 長い文はだめです。
 書いている途中で主語が変わったりします。そうすると違う風に理解する人が出てきます。

 接続詞で、短文を繋ぎましょう。(可能ならば、接続詞も削りましょう。)

 最大でも40字×3行内に収めましょう。普通の人はそれぐらいが記憶して理解する限度です。

 「ももたろう」は短文です。そのため、だれもが違う読み方をしません。理解し易い話になっていますよね。

2 『が』と『は』の違い

・おじいさん山へ芝刈りに、おばあさん川へ洗濯に行った。
 この『』は、おじいさんは芝刈りで、おばあさんは洗濯という常識を前提にしています。(木っ端役人が性別役割分担を肯定しているというわけではありません。)

・おじいさん山へ芝刈りに、おばあさん川へ洗濯に行った。
 この文章ですと、なぜか、おじいさん山に行って、おばあさん川に行った。という風に聞こえます。

3 『が』と『は』の違い2

 「ABである。」と「ABである。」
 「ABである。」は、初めて宣言する事実であることが一般的です。
 それに対して、「ABである。」では、この文章より前にこの事実を定義しているか、「ABである」ことが一般的であるかのどちらかです。

 こういう点まで考えないと正確な文章は書けません。
 しかし、書いた文章を何度も読み直せば何か違和感を感じます。その時は替えてみましょう。


 ちなみに、以下の文章では『』が使われています。
・昔ある所におじいさんとおばあさん住んでいた。
 おじいさんとおばあさんを初めて規定するので『』が使われているようです。

4 『が』は多用しない

 「ABであるCDである。」

 『が』を多用すると文章の流れが悪くなります。
 しかも、意味が分かりにくくなります。
 1文中には最大2つまででしょう。

 「ABである。しかし、CDである。」の方がはるかに読み易くなります。
 やっぱり短文です。

5 順番は守ろう

・昔ある所におじいさんおばあさんが住んでいた。
おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行った。
 この文章では、1番目におじいさん2番目におばあさんの順番が守られています。
 そうすることにより、違和感も感じませんしスピード感も生まれます。

・昔ある所におじいさんおばあさんが住んでいた。
おばあさんは川へ洗濯に、おじいさんは山へ芝刈りに行った。
 という順番の文章には違和感を感じると思います。
 論文や起案文や答弁書では順番を守りましょう。

6 順番は守ろう2

 試験問題では、いくつかの課題を抽出して、解決策を書くタイプが結構あります。(自ら抽出させるものもあります。)

 課題とあったら、解決策の順番で解答するのがあたりまえのはずです。
 しかしなぜか、課題あっても、解決策という風に順番を変えて解答される方がいらっしゃいます。
 試験官に努力させてはいけません。努力させられて喜ぶ試験官はいません。
楽に採点させてあげましょう。(気持ちよくいい点数をつけてもらいましょう。)

 起案文でも一緒です。
 発生した問題、その課題、各々の解決策をその順番に並べるべきです。
 順番を一緒にすれば上司は読み易くなります。したがって、決裁も早く済みます。
 議会の答弁書でも同じです。聞いている人が良く理解できます。

 ただし、4つ以上の場合は、「発生した問題、課題、解決策」のセットにした方が理解し易くなります。

7 順番を守ろう3

 セットにする方法は、以下の文章が参考になります。

・ふたりしておかゆや魚を食べさせて育てると、一杯食べると一杯だけ、二杯食べると二杯だけ、三杯食べると三杯だけ、大きくなった。

 1セット目「一杯食べると一杯だけ大きくなった。」
 2セット目「二杯食べると二杯だけ大きくなった。」
 3セット目「三杯食べると三杯だけ大きくなった。」

8 文章に盛り込めること

 論文で多数の話を一度に展開することは難しいと思います。 一般的には課題3つが限度でしょう。

 日本むかし話の代表「ももたろう」では主人公+3匹で展開します。課題4つでしょうかね。

 日本昔話で多人数で展開する話は「ちからたろう(こんびたろう)」ぐらいだと思います。主人公込みの3人ですし、その程度であれば理解し易いと思います。

 ちなみに、ヨーロッパの昔話でも3人程度がMAXです。主人公込みの7人で展開する昔話もありますが、冗長すぎて面白くありません。

9 平易な文を書こう

「ももたろう」は平易な短文で書かれています。接続詞さえ使っていません。
そのため誰もが同じように解釈します。

ももたろうが鬼に勝って故郷に錦を飾ることは誰でも分かりますよね。

10 文章を書く

ももたろうは、3匹?(2匹と1羽)の動物が出てきますね。
キジは情報(知識)、サルは知恵(新たな考え)、イヌは行動と言われます。

文章作成時には、あらたな情報がなければ人に読んでもらえません。新たな考えも欠かせません。
技術系公務員の場合には、行動したこと(または行動すること)も書く必要があります。

技術士二次i試験ではこれらのことが絶対欠かせません。(一級土木の実地試験も同様です。)

11 ももたろうの文章術

文章の基本は起承転結です。参考にした「ももたろう」を分析すると、

起は「おじいさんおばあさんの紹介から、ももが流れてきて、ももたろうが生まれて大きくなるまで」

承は「ももたろうが鬼退治に行くことにして、イヌ、サル、キジを家来にするところまで」

転は「鬼が島で鬼と戦うところ」

結は「鬼を退治して、姫を連れて帰るまで(宝を持ち帰るバージョンが一般的)」

と考えられます。このように、起承転結があることにより、ものがたりは分かり易く面白くなります。

12 起承転結?

ももたろうのような昔話であれば、起承転結がわかりやすいのです。

しかし、論文では最初に結論が必要です。

結論は「ももたろうは鬼を退治して、姫を連れ帰り幸せに暮らした。」

それでは、簡単すぎて昔話にはなりませんけどね。

13 脚色???

ももたろうの話は、桃を割ると男の子が出てくるタイプの昔話を思い浮かべますよね。

しかし、そうでないタイプがベースのようです。
桃は中国では不老長寿の果物です。そのためか、おばあさんとおじいさんが桃を食べて若返ってSEXして子どもができるタイプがベースらしいです。
しかし、少々生々しすぎるのと桃太郎の超人性が薄れるために今のタイプが主流になったようです。

このように、文章を万人向けにするためには脚色も必要でしょう。
技術報告書では絶対許されませんが、うそでなければ少々の脚色は許されると思います。